令和6年第三回定例会で、きもと麻由が行った代表質問の全文を掲載します。
令和6年9月12日の 江戸川区長 定例記者会見で、「自殺で亡くなった区民との関わりに関する分析結果と対策」についてお話がありました。 健康問題や経済・生活の問題、家庭の問題など、さまざまな事情がある中で、区の職員の皆さんに対するゲートキーパー研修の実施は、非常に心強い施策だと思いました。区民の皆さんからも多くの反響があり、印象的な発表だったと思います。
私たちは日々、さまざまなストレスを抱えながら生きています。周囲の人たちの心ない言葉に傷つけられたり、自分で気づかないうちに他人を傷つけてしまうこともあります。社会が複雑化する中で自分の発言や行動が「ハラスメント」となりうることも多くなってきています。メディアやSNSで「ハラスメント」に関する記事を 見ない日はありませんし、新たなハラスメントの名称も次々と出てきています。今や何がハラスメントになるかわからないので、「他人とのコミュニケーションが怖い」と感じている人も多いのが現状です。
しかし、知らないことを知ることで、ハラスメントに対する恐れや不安を払拭し、区民が安心してコミュニケーションを取れるように、環境を整えていくことが 非常に重要です。また、私たち議員もハラスメントの根絶に向けて 真剣に取り組む必要があります。ハラスメントは「人権侵害」です。区民の代表として、江戸川区の地域社会に与える影響の大きさを私たち区議会議員は、しっかりと認識しなければなりません。
以上をふまえ、ハラスメント根絶に向けた江戸川区の取り組みについて、3点、質問いたします。
1つめの質問は、ハラスメント根絶に向けた区民への周知啓発についてです。
令和6年第1回定例会で、私たちの会派の同僚議員がハラスメント根絶に向けた区民への周知啓発について質問致しました。区長からは、「ポスターなどを使ってハラスメント根絶のための周知啓発を進める」と答弁をいただきました。その後、区民への周知啓発の進捗はいかがでしょうか。共生社会を目指す江戸川区としても、積極的に情報発信すべきと考えますが、区長のご所見をお聞かせください。
2つめの質問は、ハラスメント専用の相談体制についてです。
現在、江戸川区のハラスメントに関する相談は、「人権・男女共同参画推進センター」内の「大人のなんでも相談」で対応しています。しかし、インターネットで「江戸川区 ハラスメント 相談」と検索すると、公式ウェブサイト内の「労働相談」が最初に表示されます。これでは、「ハラスメントの相談をしたい」と思った方が、どこに相談すればよいのかがわかりにくく、深刻に悩んでいる方が相談を諦めてしまう可能性があります。そこで江戸川区でも、ハラスメント専用の相談体制を整備・拡充していくことが必要です。「大人のなんでも相談」では、ハラスメントへの対応をさらに強化し、特に専門機関へつなぐ役割をしっかりと果たすことが重要と考えますが、区長のご所見をお聞かせください。
3つめの質問は、公益通報者の保護についてです。
連日メディアで報じられている 兵庫県知事のパワハラ疑惑に関する問題では、知事が調査結果を待たずに職員を処分し、その結果として公益通報者が自殺してしまうという深刻な事態が発生しています。「公益通報者保護法」では、通報者は必ず保護されるということになっておりますが、各種報道を見る限りでは、この制度が社会的、または政治的に公平に機能しているのか、疑問を抱かざるを得ません。 そこで区長にお聞きしたいのですが、江戸川区で公益通報があった場合、どのような流れで審査され、通報者はどのように保護されるのでしょうか。
(区長その他担当者からの答弁を受けて)
ハラスメント根絶に向けての前向きなご答弁をいただき、安心しました。区民の皆さんがハラスメントについて理解を深めることで、人にやさしく、皆が安心して暮らせる江戸川区を次の世代に残せると思います。このような身近なコミュニティでの意識改革が、やがて社会全体の「人権意識を高めること」につながっていきます。
今年6月に発表された世界経済フォーラムの「ジェンダー・ギャップ指数」では、日本が156カ国中118位という厳しい結果となりました。この現状を打破するためにも、人権への意識を高めることは必須です。相談体制の強化についてですが、他の自治体が行っているように、江戸川区のウェブサイトにハラスメント専用のページを作る必要があると考えます。
例えば、ひたちなか市では「職場におけるハラスメントについて」というページを設けています。ここでは、事業者に対して、パワーハラスメント対策が義務であることや、厚生労働省のカスタマーハラスメント対策マニュアルへのリンク、外部の相談窓口の紹介などがわかりやすくまとめられています。このように情報を整理して表示することで、トラブルへの対応がしやすくなります。相談体制の強化と併せて、ハラスメント専用ページの開設も要望致します。
公益通報者の保護についてですが、江戸川区では基本的に、公益通報者が守られる体制が整っていると理解いたしました。しかし、誰もが躊躇せずに公益通報制度を利用できるようにするなど、さらなる改善の余地も考えられます。 すべての江戸川区民にとって働きやすく、暮らしやすい環境を築いていくために、行政の前向きな取り組みに期待します。