令和7年11月28日 第4回区議会定例会の、きもと麻由の議会質問と江戸川区からの回答を全文掲載します。
ごみの不法投棄を改善する取り組みについて
江戸川区では、地域の皆さんによるボランティアでのごみ拾い活動が非常に盛んです。週末の早朝にもかかわらず大勢の方が集まる様子を見るたびに、住民の皆さんの「ごみを減らしたい」という意識の高さを強く感じます。地域のみなさんとおしゃべりしながらごみを拾っていると、突然、目の前にショッキングな光景が飛び込んできました。大量の不法投棄の山です。
プラスチックの衣装ケース、炊飯器、スーツケース、水槽──
さらに、収集が終わった時間のはずなのに、集積所には大量のびん・缶・ペットボトルや可燃ゴミらしきものまで置かれていました。こうした集積所を見つけるたびに、地域の方がおっしゃるのは、「ずっとこうだよ。何をやってもダメなんだよね」という言葉です。中には「40年前からずっと私が片付けてるよ」という方までいらっしゃいました。
私は同僚議員と協力して、監視計画を実行し、資源ごみを入れるケースを隠したり、見回りを強化したりしました。確かにその集積所は一時的にきれいになりましたが、喜んだのも束の間で、今度は数十メートル離れた、隣の集積所が荒れていました。「本当に何をやってもダメなのかな」と思わざるを得ませんでした。それでも、このまま荒れ放題の集積所が増えていくのを黙って見ているわけにはいきません。
過去の本会議でも同趣旨の質問があったことは承知していますが、今回は“改善が見られていない”という現状を踏まえ、改めて区長に質問させていただきます。
まず1つめに、現状の課題認識と対策について伺います。住民の通報等で不法投棄が見つかった場合、清掃事務所では見回りを強化したり、警告シールを貼るなどの対応をしていただいていますが、一時的に改善したとしても、また状況が悪化してしまったり、別の集積所が荒れてしまったりしています。
江戸川区では、このように「不法投棄が無くならない現状」をどのように認識していらっしゃるのでしょうか。また、見回り以外にはどのような対策をしているのか、具体的にお示しください。
2つめの質問は、改善が見られない集積場への、踏み込んだ対策についてお聞きします。
現状の対策では不法投棄が減らず、改善が見られない集積所については、町会・自治会と協力することで防犯カメラを設置したり、周辺エリアも含めて、集積所を廃止し、戸別収集に切り替えるなど、対策をさらに前に進める必要があると考えます。不法投棄を減らすためのさらなる強化策について、現在どのように検討を進めているのか、お聞かせください。
【区の回答】
【区長】はじめに、不法投棄を改善する取組みについて、お答えをいたします。まず、現状の課題認識と対策でございます。廃棄物の処理及び清掃に関する法律では、何人もみだりに廃棄物を捨ててはならないとされており、違反した場合には、個人は懲役または罰金、法人には高額の罰金が科せられるなど、厳しい処分が定められています。
不法投棄は、地域の生活環境を悪化させ、住民の安全・安心を脅かすだけではなく、その処理には税金が使われることになる違法行為です。令和六年度に職員が回収した不法投棄物は千二百八十五個に上ります。このようなルールを無視したごみ出しは、通常のごみ収集作業にも支障を来すものです。
本区では、不法投棄を防止するため、看板の貸出しや集積所の巡回パトロールの実施により、集積所周辺の監視体制を高め、未然防止に取り組んでいます。また、実際に不法投棄があった場合は、回収できない旨の警告シールを添付のほか、ごみの適正な排出をお願いするチラシの周辺住民への配布、状況によっては、ごみ袋を破って排出者を特定し、正しいごみの出し方を直接指導することも行っています。
集積所は、地域の皆様に管理・運営をしていただけるものであり、区の一方的な判断で廃止や移設を行うことはできませんが、排出状況が改善されない場合には、地域の皆様と協議の上で廃止等の対応をする場合もございます。
【環境部長】私からは、不法投棄を改善する取組みについて、改善が見られない集積所や踏み込んだ対策をについてお答えいたします。防加カメラについては、地域の方が集積所の不法投棄の問題を町会に共有し、町会の意向により、防犯カメラを集積所付近に設置いただいたことで、改善につなげることができた事例もあり、地域の自主的な防犯体制の強化を目的として設置を促しております。
特定のエリアのごみ収集を戸別収集に切り替える取組みにつきましては、不法投棄対策として一定の有効性はあるものと考えますが、戸別収集は作業量の増加を伴い、車両、人員といった財政負担が大きいものです。戸別収集への安易な変更は、そのような負担及び公平性の観点からも、行うべきではないと考えております。
区内には令和七年度当初時点で、約四万五千か所の集積所があります。これらの集積所を適切に維持・運営し、不法投棄をなくしていくためには、まずはごみを出す方のモラルやマナーの向上が重要であり、その上で、地域の皆様による集積所の管理が必要となってまいります。
区としては、地域の皆様の取組みを支援できるよう、ごみの出し方の分かりやすい周知をさらに進めるとともに、不法投棄を発見した際には、迷うことなく区にお知らせいただく方法の検討など、区民と協働した不法投棄対策を進めてまいります。
区の広報物、ポスターやチラシ、パンフレット等のクオリティをあげる取り組みついて
区の広報物には、子育て支援や高齢者福祉、外国人への情報提供など、区民生活に直結する重要な情報が数多く掲載されています。しかし現状では、部署ごとに表現がバラバラであったり、内容が伝わりにくいものも見受けられます。デザインは単なる装飾ではなく、「行政の伝える力」を左右する基盤であることを、改めて強調したいと思います。
江戸川区がこれから施策をより確実に、より効果的に区民に届けていくためには、行政職員一人ひとりが「良いデザインを見分ける力」を身につけることが欠かせません。デザインとは、広報物の見た目を整えるだけでなく、区民に正しく、迅速に、そしてストレスなく情報を届けるための重要な知識であり、道具です。また、東京23区の自治体として、対外的に文化水準を示すという意味においても、非常に重要であると考えます。だからこそ、デザインの力を行政全体で理解し、活用していく体制づくりが必要です。以上を踏まえ、2点質問させていただきます。
まず1つめに、「広報物相談」の周知・活用について伺います。
広報課には、区の広報物を作成する際に、他部署から相談を受ける制度があります。マニュアルも整備されており、例えば、子ども向け、高齢者向け、外国人向けには、それぞれどのように作成すればよいか、伝わるデザインのポイントがまとめられています。また、広報物そのものの作り方について相談に応じる業務もあり、これも他部署が活用できる仕組みとなっています。
しかし、各部署で作成されている広報物を見る限り、このシステムが十分に利用されていないのではないかと感じるものが多く見受けられます。そこで、庁舎内で実際にどれほどの部署がこの制度を利用しているのか、そして現状の課題をどのように認識しているのか、お聞かせください。
2つめの質問は、東京藝術大学との連携によるクオリティを上げる取り組みについて伺います。
令和5年度から、東京藝術大学による「御用聞き」という施策が実施されました。ワークショップを通じた多世代間交流や、不登校支援、障がい者の就労支援としての「えどがわビアプロジェクト」など、アートを通じて、江戸川区の地域課題を解決する取り組みが進められてきました。
このように現在は、主に地域活性化のための施策と連携した取り組みが中心となっていますが、東京藝術大学にはデザイン科があり、専門の教員の方々がいらっしゃいます。そこで、江戸川区の広報物、たとえばパンフレットやポスター、チラシなど、デザインが必要なものについては、この専門性を活用し、各部署への「伝わるデザイン」のレクチャーや、広報物のクオリティチェックに協力を得ることも検討できるのではないでしょうか。区長のご所見を伺います。
【区の回答】
はじめに、広報物相談の周知・活用についてですが、私自身は、どんなによい行政サービスを提供していても、それが対象となる皆様に伝わらなければ、やっていないことと同じだと思っています。そうした思いから、令和三年度より全庁的な広報発力の向上を目的として、各部が作成する広報物について、広報課が一的に相談を受けアドバイスを行う広報物相談を実施しています。
実績といたしましては、令和七年十月末までに延べ百八十二の部署から相談があり、六百九十二件の広報物について改善をしてきたところです。令和四年度から六年度にわたっては、広報・宣伝の分野で高い専門性と豊富な実戦経験を有する民間事業者に広報アドバイザリー業務を委託し、更なる広報発言力の強化を図りました。この三年間で、延べ百六十六体の広報物についての助言や改善事例の提案をいただいています。これらの広報アドバイザリーから得た伝わる広報物のポイントをガイドラインとしてまとめ、広く庁内で共有するとともに、さきにお話しした広報物相談でも活用しているところです。
そのほかにも区の広報物のクオリティを上げるため、職員向けの広報物講座やeラーニングも実施しており、これらの機会を捉えて広報物相談の周知もしています。引き続き、区民の皆さんの目線に立った、分かりやすく伝わる広報物づくりに取り組んでまいります。
次に、東京藝術大学との連携によるクオリティを上げる取組みについてお答えいたします。
東京藝術大学は、日本で唯一の国立総合芸術大学であり、デザインや絵画などの分野において、高い技術や知見を有していると承知をしております。一方、東京藝術大学は、アートを通じて地域や行政が抱える課題を共に考え、共生社会を目指す活動にも力を入れています。この活動の目的が、ともに生きるまちを目指す本区と同じであることから、現在、連携して事業を行っているところです。区の広報物のクオリティ向上については、今後も区のガイドラインに基づき、引き続き取り組んでまいりますが、東京藝術大学とも相談をしてまいります。
包括的性教育について
私はこれまで、議会や委員会の場で「ハラスメントの根絶」を訴えてまいりましたが、その背景には、日本における人権教育が、本当に大切にされているのかという強い疑問がありました。議員になる以前、社会人としてさまざまな人と関わる中で、他人から傷つけられたときに、「つらい」と感じる自分がおかしいのではないかと悩むことがありました。「皆が我慢しているのだから仕方ない」という空気の中で、世間から押しつけられる「そういうものだから仕方ない」という社会通念と、自分が抱いている「嫌な気持ち」との間で葛藤することが、何度もありました。
さらに幼少期を振り返ると、両親が離婚して片親だったこと、そして母が聴覚障害を抱えていたことで偏見を受け、とてもつらい思いをしたことを今も覚えています。もしあの時、包括的性教育を学校で学び、「普通」や「当たり前」という無意識のバイアスに縛られる必要はないことや、他者との違いは劣等ではなく個性であり、どんな生まれや境遇であっても人は尊重される存在なのだという価値観を知っていれば、これほど遠回りすることも、傷ついた心を癒すために長い時間を費やすこともなかったのではないかと思います。
包括的性教育は、単なる性の知識を教えるものではありません。学ぶ内容には、人間関係、価値観・人権・文化、ジェンダー理解、さまざまな暴力から身を守ること、健康と幸福のためのスキル、そして性と生殖など、幅広い領域が含まれています。これらを学ぶことで、自他を尊重した関係を築き、自分の選択が、誰かの幸福にどう影響するかを考え、人生を通してすべての人の権利が守られることの大切さを理解できるようになります。
私が子ども時代を過ごした昭和の頃は、地域の“おせっかいな大人たち”に助けられ、さまざまなことを学ぶことができました。しかし、今の子どもたちは地域とのつながりが希薄になり、情報をインターネットやSNSから得る時代を生きています。膨大な情報の中から、発達段階に応じた正しい内容を選び取ることは容易ではなく、誤った情報に触れるリスクも、かつてよりはるかに高くなっています。
また、江戸川区の教育現場に関わる方々からは、学習指導要領の制約によって授業で扱える内容が限られてしまい、学校のカリキュラムだけでは必要な知識を十分に伝えられないという指摘があります。さらに、保護者自身が包括的性教育を受けてこなかったために、子どもへ正しい知識を伝えられないことや、リスクへの意識が低いことなども課題として挙げられています。
だからこそ、行政が責任を持ち、正しい知識を確実に伝えられる専門家による教育の場を保障することが不可欠です。特に性に関する話題は日本では扱いにくく、学校現場では教員任せになりがちで、これが現状の課題にもつながっていると考えます。以上の趣旨を踏まえ、ここで2点、質問いたします。
1つめは、外部講師による出前授業の実施状況についてお聞かせください。
2つめは、区内すべての保育園・幼稚園・小学校・中学校での出前授業が必要と考えますが、実施を進めていくことについて区の認識をお聞かせください。
【区の回答】
【教育長】私からは、包括的性教育の外部講師による出前授業の実施状況についてお答えいたします。
包括的性教育は、子どもの人権を基軸にした発達段階に応じて継続的に行うものであり、子どもたちが自らの心身を理解し、他者を尊重しながら健やかに成長するための教育として重要であり、外部講師による包括的性教育の効果についても認識しているところでございます。
東京都教育委員会の性教育のモデル事業に基づき、産婦人科医等の外部講師を導入して、生命の尊厳や身体の仕組みについて、子どもたちが実感を持って学べる機会をつくっている学校もございます。
そのほかにも、小学校では助産師、看護師などを外部講師として招き、発達段階に応じた講話等を行っております。中学校では助産師や看護師からの講演だけではなく、弁護士や社会福祉士など、多角的、多面的な視点から指導を受けるなど、多様な学びにつながっているところでございます。
これら外部議師による出前授業を活用した包括的性教育は、東京都教育委員会が作成している人権数育プログラムに基づいて、各学校が人権教育の全体計画を作成して、全ての教育活動において人権課題を体系的に学ぶことができるよう位置付けております。
令和七年十二月十一日には、南葛西小学校と小岩第五中学校にて、命の安全教育の公開授業を予定しております。公開授業を通して、児童・生徒に自分や他者を尊重する態度等を発達段階に応じて身につけさせるよう、教職員への周知を図ってまいります。今後も子どもたちが安心して学び、互いを尊重し合う社会の担い手となるよう、包括的性教育を推進してまいります。
次に、区立幼稚園、小学校、中学校での出前授業の実施についてお答えいたします。保育園における実施状況につきましては、子ども家庭部より答弁がございます。
まず、幼稚園についてでございますが、昨年度は区立船堀幼稚園において外部講師を招聘し「いのち、だいじ」をテーマに、園児は命の始まりからプライベートゾーンについての話を聞く中で、自分も友達の命も大事に思う気持ちを学ぶ機会となりました。
先程、外部講師を招聘した出前授業を行うことについて述べさせていただきましたが、道徳の授業や学級活動、生徒会活動などを通じて意図的、計画的に、自身だけではなく、相手の立場を理解し尊重する条を養うための教育活動を進めていくことも大切だと考えます。区立幼稚園及び各学校において、幼児、児童・生徒の発達段階に応じて必要な包括的性教育を実施し、必要に応じて外部講師を招聘した出前授業ができるよう、その実践を広げられるようにしてまいりたいと存じます。
【子ども家庭部長】私からは、区内保育園での出前授業の実施を進めていくことについてお答えいたします。区立保育園において、今年十一月から来年二月にかけまして、保健師が全三十三園で五歳児を対象に、自分の体は自分のもの。嫌なことは嫌と言っていい。友達の気持ちを大切にするといった基本的な考え方を伝えてまいります。
出前授業を行うことも大切でございますが、併せて区立保育園の保育士には、保健師による包括的性教育の研修を実施し、保護者には、保健だより特別号を配布し、家庭で包括的性教育を考えるきっかけとしての知識の普及を行っているところでございます。私立保育園では、保護者連絡協議会が保護者向けに幼児期からの性教育をテーマに、今年度は二回、助産師による講演会の実施を予定しております。また、園児向けの性教育に関する絵本を寄贈する予定でございます。
また、江戸川区要保護児童対策地域協議会が主催しました助産師の講演会に保育士も参加し、理解に努めているところでございます。今後も出前授業の実施において、各園から相談がありましたら、区としましても協力をしてまいります。子ども、保護者、保育士が安心して包括的性教育を学べる場を整えてまいります。以上でございます。

