令和6年第三回定例会で、きもと麻由が行った代表質問の全文を掲載します。
公立学校での教育に関する江戸川区の考え方について3点、質問いたします。
学校改築の入札不調は、令和5年度に2校で2件、そして今年に入ってからも3校で4件と、非常に厳しい状況が続いています。区⺠の⽅からもさまざまなご意⾒をいただいていますが、⼤⼈の都合で生徒たちの教育環境に悪影響を及ぼすようなことがあってはなりません。入札制度の仕組みや社会の変化、働き方改革、円安など、問題は複雑に絡んでいますが、この制度そのものを見直す時期に来ているのではないでしょうか。
そこで、1つめの質問です。例えば上小岩小学校では、生徒たちが仮校舎に移動した後、2回も入札の不調が発生しており、業者の選定も今なお進んでいません。そのため、将来的に入学から卒業までずっと仮校舎で過ごす生徒たちが出てくる可能性も否めません。また、校庭が使用できないために活動が制限されたり、地域の方々や保護者との信頼関係が悪化するなど、さまざまな影響が出ています。このような 学校改築の入札不調や遅延が教育に与える影響について、江戸川区としてどのように捉えているのか、教育長の認識をお聞かせください。
2つ目の質問ですが、小学校の道徳教育におけるいじめ撲滅対策についてお聞きします。平成28年から、文部科学省の指導要項に「善悪の判断」が加わり、当時の文部科学大臣のメッセージの中で「いじめ防止のための教育を強化する」と述べられています。現在、施行から5年以上が経ちましたが、実際にいじめは減少しているのでしょうか。
また、江戸川区独自のいじめ撲滅への取り組みについてもお伺いします。たとえば、フィンランドで開発された「キヴァ・プログラム」といういじめ防止プログラムはイタリアやオランダ、英国、⽶国の小中学校で広く使われており、日本では世田谷区がこの「キヴァ・プログラム」を参考にした、独自のいじめ防止プログラムを導入しています。
このプログラムは、いじめの加害者や被害者だけではなく、むしろ黙認している傍観者に焦点を当てています。生徒たちがいじめの場面に遭遇した時にどう行動するかをシミュレーションしたり、グループワークを通じていじめ被害者への共感や サポートを育むことで、いじめが減るように設計されています。このような実践的なプログラムの導入について、教育長はどうお考えでしょうか。
3つめの質問は、グローバル人材育成のための江戸川区の取り組みと今後の展望についてです。東京都の教育施策には「グローバル人材の育成」が掲げられ、外国語と国際理解の促進が重視されています。また、東京都教育委員会の「東京型グローバル人材育成モデルの実施に向けたガイドライン」には、「国内外の課題を解決するための創造的・論理的思考力の育成」と記されています。 しかし、江戸川区では英語のスピーキング教育にかなりの比重が置かれています。「創造的・論理的思考力の育成」について、江戸川区ではどのような教育が行われているのでしょうか。
(教育長その他担当者からの答弁を受けて)
学校の改築に関してですが、生徒たちが不便さを感じたこと自体は、むしろ貴重な経験になりうると思います。将来、彼らが自身の学校生活を振り返り、江戸川区の入札システムやその問題の理由を理解したとき、どのように感じるでしょうか。私は、江戸川区から問題解決能力を持つ社会的リーダーが多く育つことを期待しています。彼らは社会全体を底上げし、多くの人々に幸せをもたらすために行動できる人たちです。
いじめの問題については、傍観者にならず、黙認せずに行動することが非常に大切ですが、これには勇気がいります。しかし、教育によって スキルを身につけることができれば、傍観者同士が協力し合い、救われる友人が増えるはずです。将来、ハラスメントの加害者にならないためにも、また被害に遭ったときには必ず誰かが助けてくれると信じて前に進むためにも、実践的な いじめ撲滅対策を要望いたします。
次に、「グローバル人材の育成」についてですが、これからは「創造的・論理的思考力の育成」が本当に大切なスキルになると思います。日本語でも英語でも論理的に考え、表現し、テクノロジーを活用して新しい未来を創造できるように、教育が子どもたちを支える必要があります。 そのためには、令和6年第一回定例会の一般質問でお話ししたSTEAM教育や、広島県の公立小学校で取り入れられている「イエナプラン教育」のように、自主的に学び、クリエイティブに考え、問題解決に向けて行動するための教育施策を強化していくべきと考えます。