区議会 代表質問②:多文化共生について

令和6年第三回定例会で、きもと麻由が行った代表質問の全文を掲載します。

今年10月に創設される「多文化共生センター」での取り組みについて質問いたします。私たち日本人は、長い間、身の回りに外国人が少ないコミュニティで 生活してきました。江戸川区には令和6年9月1日現在、46,102人の在住外国人がいらっしゃいますが、彼らと日常的に接することは、まだまだ少ないのが現状です。

江戸川区に数十年お住まいの外国人の方々にお話を伺ったところ、コミュニケーションにおいて最大の壁は「日本人が話す日本語が難しい」ということでした。私たちが普段使う日本語は、ひらがな、カタカナ、漢字、外来語が混在し、状況に応じて言い回しが変化するなど、世界的に見ても非常に難解な言語の一つです。また、日本語特有の曖昧な表現や遠回しな言い方は、外国人にとってさらにコミュニケーションのハードルが高く感じられると思います。

共生社会を目指す江戸川区にとって、外国人が暮らしやすい地域社会を作り、私たち日本人も外国人との関わり方を理解し深めていくことが必要です。これらを踏まえ、江戸川区が目指す「多文化共生」のあり方について、3点、質問をさせていただきます。

1つ目の質問は、「やさしい日本語」の日本人への周知・啓発についてです。

「やさしい日本語」は、災害時に外国人にわかりやすく情報を伝えるために開発されましたが、最近では 外国人との円滑なコミュニケーションを図る手段として、積極的に取り入れている自治体が増えています。例えば、横浜市ではプロサッカーチーム 横浜FCの選手たちと「やさしい日本語」の動画を作成し、外国籍の選手や 多言語を話す日本人選手がどのようにコミュニケーションをとっているかを紹介しています。

また、市のウェブサイトには 市民が利用できる「やさしい日本語」のガイドラインも掲載されており、多文化共生への積極的な姿勢が感じられます。このような取り組みは、「やさしい日本語」に馴染みのない多くの日本人にも広く周知され、外国人との相互理解を深めるために非常に効果的です。

そこで江戸川区でも、お知らせやチラシなどの広報物、ウェブサイト、アプリやSNSで「やさしい日本語」をより意識した情報発信をしていただきたいと考えます。今後、「やさしい日本語」の普及についてどのような取り組みを行っていくのか、区長のご所見をお聞かせください。

2つ目の質問は、外国人が区民と交流を深めるための施策についてです。

今年8月の文教委員会の視察で訪れた「公益財団法人 沖縄県 国際交流・人材育成財団」では、在住外国人の労働や生活環境の向上に向けたユニークな取り組みを行っており、それをサポートする日本人の育成にも力を入れています。

具体的には、外国人企業支援セミナーや医療通訳支援、災害時の外国人支援サポーター 養成講座、さらに日本で子育てに奮闘する外国人ママとの交流会などがあります。このような取り組みを参考にしながら、江戸川区でも多文化共生社会にむけて外国人の活躍の場を広げていくことが必要です。外国人と区民がより深く交流するために、江戸川区ではどのような取り組みを行っていくのか、区長のご所見をお聞かせください。

3つ目の質問は、外国人への能動的な情報発信と今後の施策についてです。

多文化共生センターの3本柱は、生活相談、日本語教育、交流イベントです。しかし、外国人が必要な情報を見つけることは非常に難しいという現状があります。そこで、多文化共生センターからの情報発信を、さまざまなツールを利用して、能動的に行うことが重要と考えます。外国人が情報にアクセスしやすくなると、区のサービスを利用する機会が増え、地域社会とのつながりを深めていくことが可能になります。

また、地域コミュニティに外国人の多様な視点が加わることで、新しいアイデアや解決策が生まれ、信頼関係の構築や偏見の軽減、地域経済の活性化、観光資源の拡充など、共生社会の実現に向けたさまざまなメリットが期待できます。多文化共生センターからの能動的な情報発信について、区長のご所見をお聞かせください。

(区長その他担当者からの答弁を受けて)

多文化共生センターについてですが、このセンターはまだ始動前ですので、今回は理想的な取り組みについて質問させていただきました。しかし、他の自治体の事例を見ていると、外国人との共生にはさまざまな課題が生じる可能性があることも考えておく必要があります。

例えば、江戸川区で禁止されている歩きタバコやポイ捨て、自転車のマナー、ゴミの出し方、騒音などについて、どのように調整していくのかが重要です。こうした課題を解決するために、多文化共生センターから生まれた新たな地域コミュニティが、安心で安全な地域社会を築いていくことを期待いたします。

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