区議会での質問:江戸川総合人生大学の活用について

令和6年第1回定例会で、きもと麻由が行った一般質問の原稿を掲載します。一番下に江戸川区からの回答要旨と、きもと麻由の解説を記載しています。

江戸川総合人生大学は、あらゆる世代の江戸川区民のために「江戸川まちづくり学科」「国際コミュニティ学科」「子育てささえあい学科」「介護・健康学科」を設けて、「共育」「協働」の社会づくり、「地域文化」の創造と継承といった、地元をもっとよくするための学びの場を提供しています。ここでは様々な活動を通じて地域の人とつながることができ、若い人から高齢者まで、新しい地域コミュニティ創造のための大切な場所になっていると認識しています。

人生100年時代にむけて、「何歳になっても新しいことに挑戦できる江戸川区」を作っていくために、3つ質問をさせていただきます。一つ目の質問は、「現役世代の社会人も参加しやすいカリキュラムの提供について」です。30代〜40代の働く世代の方からよくいただくのが、「江戸川総合人生大学に興味があるが、カリキュラムがきつすぎて通えない」という意見です。

人生大学は2年制で、 1年次は週3回程度、しかも授業はほとんど平日の昼間なので働く世代の社会人が通うことができません。千代田区の「ちよだ生涯学習カレッジ」は1年制で、授業は月2回、主に平日夜間に開催して、幅広い年代の参加を目指しています。これからの地域コミュニティ活動には、現役を引退したシニア世代だけでなく、働く世代の参加も不可欠です。現役世代の社会人も参加しやすいカリキュラムを検討していただきたいのですがいかがでしょうか。

また、リアルタイムのオンライン授業以外でも授業を受けやすくするための工夫や、生徒に配布している「タブレットの活用」については、今後どのようにお考えですか。

二つ目の質問は、「人生大学の学びを仕事につなげる取り組みについて」です。江戸川総合人生大学に通っていたシニア女性から このような意見を受けました。「人生大学に通っていても、働くことにはつながらない」。人生100年時代と言われ、生涯に渡る学習とボランティアなどの社会活動だけでなく、就労意欲が高いシニアの方々に対して「雇用の促進」も求められています。現状の学科に加えて、大学や専門学校と連携して、語学やITなどの資格取得を目指したり、専門的なカリキュラムを提供して、それを仕事のきっかけにつなげる取り組みはできないでしょうか。

三つ目の質問は、「仕事のマッチングについて」です。人生大学終了後に ボランティア活動をしている方は多いですが、そこからさらに進めて「働くこと」につなげていく取り組みも検討していただきたいと思います。例えば「保育ママ」は資格がなくてもできるので、「子育てささえあい学科」で学んだ方にチャレンジしてもらうことが可能ですが、数多くある区の子育て施策から「学びをいかした働き先」探し出すのは大変困難です。そこで当区の「介護の担い手研修」のように、研修修了者に対して区内の介護事業者との相談会を開き、仕事のマッチングを行うという取り組みを参考に、人生大学でも卒業生に対して、江戸川区内で「学びを生かした働き先」を紹介する場を設けられないでしょうか。

区の回答要旨:一つ目の質問について、働く世代の受講生が増えてきたため、今年度より授業数を減らした。また一部、土曜開講の授業もあり、現役世代が受講しやすい環境を整えている。学生以外も、授業見学・聴講生・公開講座を行っており、幅広く受講できるよう進めていく。オンライン配信はリアルタイムのみ可能で、録画配信は著作権の問題があり困難。タブレットはレポート提出やコミュニケーションツールとして活用している。

二つ目の質問について、建学の精神が最も大切だと考える。資格取得のための大学にせず、地域社会の問題を発見し、社会貢献につなげていけるように。仕事につなげる取り組みも大切だが、心の豊かさに向けて、基本理念にのっとって運営していく。

三つ目の質問について、一流の講師陣による、企画力・組織力強化、ソーシャルビジネスの立ち上げ運営、民主的会議の進め方などの講義があり、ビジネスの新たな分野開拓のための足掛かりになっている。大学で働き先を紹介することは考えておらず、就労はハローワークといった公共の紹介機関や、介護の相談会も行っているのでそれらを活用してもらいたい。

きもと麻由の解説:私も一時期、人生大学に通っていましたが、一流の講師陣と素晴らしい講義に感動して、もっとたくさんの区民に受講してもらいたいと思いました。平日の昼間に授業があるというだけで、働く世代が受講することはほぼ不可能になるため、せめて録画配信だけでもと思ったのですが難しいようです。

近年、リスキリング(学びなおし)が注目されています。いま行われている職業訓練という枠ではとらえきれない、新しい技術についての学習が必要とされています。危機感を持つ働く世代や就労意欲を持つシニア世代に必要とされる講義、今日を生きる切実な課題にあった人生大学にアップデートしていけたらと要望しています。

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