令和6年第1回定例会で、きもと麻由が行った一般質問の原稿を掲載します。一番下に江戸川区からの回答要旨ときもと麻由の解説を記載しています。
成人年齢が18歳に引き下げられ、身近な問題から将来の夢まで早い段階から考え、決断し、社会人になる前に失敗も成功も含め様々なことを体験していく必要があります。しかし、今の受験勉強中心の学校生活だけでは、間違えたり失敗した時にどのように対処し、まわりの人たちに理解を得ていくのか、そういった人生において大切な経験が少ないまま社会に出ることになります。
将来の夢が科学者でもスポーツ選手でもデザイナーでもサラリーマンでも、「自分の人生は自分で作っていく」そういうマインドを育てていくために、「デザイン思考」を早い段階から取り入れ、実践していくことが必要です。「デザイン思考」とは、「課題の当事者への共感で問題の原点にせまり、仮説を立てアイデアを考える」ということですが、この「デザイン思考」によって問題に向き合い、解決することはとても重要な体験になります。私は江戸川区の若者に、もっともっとクリエイティブに発想し、それらを実現することで、自由に生きていく術を身につけてもらいたいと思います。
江戸川区では、「区民参加による政策プレゼン」や、小学生による「子ども議会」や「中学生議会」があり、区民の意見を聞き、区政に反映させるという取り組みが行われています。自分たちの声が区政に届くというのは、本人たちにとっても励みになることだと思います。
そこで私は、江戸川区の若者に「デザイン思考による問題解決」を体験してもらうために、若者の視点で施策の発信をしてもらう場を共育プラザに作ってみてはと考えます。共育プラザ条例の中には「中学及び高校生世代の者の活動を支援し、中高生の自立及び地域社会への参画を促進すること」とあります。まさに高校生自らが企画し、大人や地域を巻き込みながら地域活動を実践することで、若者に進んで行政参加をしてもらえるのではないでしょうか。
たとえば「若者の選挙の投票率向上」や「空き家の活用方法」など、区としても悩ましい課題を若者の視点で考えてもらうことで、ユニークな解決策が発案されるのではないかと期待されます。全国の自治体から例を挙げますと、兵庫県加古川市の「放課後プロフェッショナル」や、静岡県静岡市の「高校生まちづくりスクール」など、すでに成功例は多数ありますし、この中には高校生が発案した施策が、国の「地方創生政策アイデアコンテスト」や東京大学主催の「チャレンジ!オープンガバナンス」で入賞し、実際の政策へとつながった事例もあります。 江戸川区においては、「SDGsフェス」や「二十歳を祝う会」など、若い世代が主役のイベントについて、新しい発想とロジカルな思考で「今までになかった江戸川区」をデザインしてほしいと思います。共育プラザを拠点にした高校生デザインプロジェクトの開催について、区長のご所見をお伺いします。
区の回答要旨:区内には7つの共育プラザがあり、自由に過ごせる場所として多くの中高生でにぎわっている。彼らの自主的な発案によって音楽イベント、スポーツ大会の開催だけでなく、なごみの家の熟年者との世代間交流も行っている。昨年夏の政策提案プロジェクトでは高校生2グループ7名から提案があった。高校生たちのフレッシュな発想は区としても歓迎すべきことであり、デザインプロジェクトによって活動の幅も広がるのではないか。今後の事業展開の参考にしたい。
きもと麻由の解説:デザイン思考というと、クリエーターやデザイナーだけのものと考えがちですが、課題を解決するためのアプローチとして役立つ思考法です。若いうちから学ぶことで、不確実な現代への対応力も身につくと思います。そして、若者の地域活動のモチベーションにつなげていくためにも、高校生がデザイン思考で政策提案したものを行政がしっかりと実行し、成果につなげることが大切になってきます。