一般質問①:ふるさと納税とクラウドファンディングを活用した伝統工芸の保護

第三回定例会で、きもと麻由が行った一般質問の原稿を掲載します。一番下に江戸川区からの回答要旨ときもと麻由の解説を記載しています。

去る9月13日の区長定例記者会見において、区長が「ふるさと納税の活用」として、区民からの提案をプロジェクトにして、プロジェクトごとにクラウドファンディングでふるさと納税の寄付をつのる、ガバメントクラウドファンディングを提案していました。すでに江戸川区でも、ふるさとチョイスのサイトにて、角野栄子児童文学館のふるさと納税の寄付を募るプロジェクトを実施中です。

ところで、江戸川区は釣りしのぶ、江戸硝子、江戸扇子、組子細工、漆芸など、貴重な伝統工芸が今でも息づいている都内でも数少ない場所です。しかし残念ながら、高齢化や後継者不足、マーケティングや販路の確保の難しさ、新たな職人を育てるための教育プログラムや一般の人の知名度の低さなど、さまざまな課題を抱えています。私は前職でデザイナーとして、商品やパッケージデザインをしておりましたので、このような伝統技術が衰退していくのを何とかして食い止めたいと考えています。

そこで、これから江戸川区が実施しようとしているガバメントクラウドファンディングを活用して、伝統工芸の課題をプロジェクトにして、ふるさと納税をもとにした寄付を募り、返礼品として伝統工芸品を採用することを提案させていただきます。

この方法の良いところは、プロジェクトとしてサイトに公開されることで、伝統工芸を周知でき、寄付した人だけではなく、そのページを見た一般の人にも関心を持ってもらえる点です。また、伝統工芸品を返礼品とすることで、工芸品の貴重な販路になり、それが職人の給与にもやりがいにも結び付きます。寄付されたふるさと納税は、マーケティングや教育プログラムやその他、さまざまなアイディアに利用できます。返礼品競争は不毛な争いですが、伝統工芸プロジェクトの返礼品は寄付者、製作者、行政三方よしの仕組みだと思います。

行政がプロジェクト化するのではなく、同様の区民の提案を待てばよいという見解もあるかもしれませんが、伝統工芸の産業が衰退し、職人が高齢化しているため、このようなプロジェクトの提案を作り上げるのが難しい点、返礼品に伝統工芸品を揃えることができない点から、行政が中心となって推進していただければと思います。 区長が9月13日の定例記者会見において発表した「ふるさと納税の活用」の全容がまだわからないため、理解が間違っている部分もあるかもしれませんが、伝統工芸を保護し、職人のモチベーションを上げ、給与アップし、後継者を育て、流出しつづけるふるさと納税を少しでも食い止めるために、これから取り組むガバメントクラウドファンディングの活用例としてぜひ実施をお願いします。

区の回答要旨:本区は返礼品競争に反対の立場を取っており、返礼品なしのふるさと納税型クラウドファンディングを採用している。

伝統工芸品を作る過程や作者の思いを動画にして、伝統工芸品の販売につなげる新たなサイトを立上げる。より多くの方に見てもらうため、銀座の蔦屋書店で伝統工芸品の展示販売を実施予定。さらにインスタグラムやフェイスブックなどSNSを活用して伝統工芸の振興に努めたい。

きもと麻由の解説:通常のふるさと納税に対する返礼品に反対の立場であることは知っていたので、プロジェクト型クラウドファンディングを活用することで、伝統工芸の現状や素晴らしさをプロジェクトとして訴えかけることができると思ったのですが、残念ながら採用していただけませんでした。

しかし、伝統工芸の魅力をアピールできる新たなサイト立上げや、区外で実際の工芸品を手に取れる機会が増えることは良いことだと思うので、今後の動向を見守っていきたいと思います。

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