公費によるホノルル視察、その費用と成果をどう検証する?

江戸川区は、姉妹都市であるハワイ州ホノルル市との交流のため、区長や職員、区議会議員による海外視察を行っています。もちろん国際交流、国際連携には大きな意義がありますが、区民の税金を使って海外を訪問する以上、何のために訪問し、何を学び、どのような成果があったのか。そして、その成果を区政にどう生かしていくのか。 これらを区民に説明することは、当然の責任ではないでしょうか。

今回の代表質問では、国際交流を区民生活にどう生かすのか、議員が同行する意義は何か、そして、海外訪問の目的や成果を区民が確認できる報告制度を整備すべきではないか、と質問しました。さらに、決算特別委員会では、具体的な経費についても確認しました。

そのやり取りをご報告します!

目次

ホノルル交流を区民生活にどう生かすのか?

【きもと麻由の質問】

江戸川区とホノルル市の交流は、議会同士の交流が先行し、近年は青少年交流なども広がり始めています。今後は、子どもたちだけでなく、成人やシニア、地域団体、事業者などにも交流を広げ、防災、福祉、健康など、区民生活に役立つ政策連携へと発展させるべきではないか、と質問しました。

【区の回答】

区からは、盆踊りやホノルルフェスティバルを通じた交流のほか、ホノルル市の農園経営者と東京スマイル農業協同組合による、小松菜栽培についての意見交換などが紹介されました。また、今後は防災や健康など、両都市の課題解決につながる交流も推進していきたいとの回答がありました。

【きもと麻由の見解】

交流を広げ、政策連携につなげていく方向性については、区も前向きな考えを示しました。しかし、大切なのは交流を通じて何が生まれたのかということです。例えば、防災について意見交換をしたのであれば、どのような知見が得られ、江戸川区の防災対策に生かせることがあったのか。交流の内容や成果をきちんと記録し、次の取組みにつなげていくことが重要です。

交流を続けること自体が目的になってはいけません。その成果を区民に示していくことが、国際交流への理解にもつながると考えます。

議員が同行する目的は? 視察報告書を公開すべきでは?

【きもと麻由の質問】

公費による海外視察に議員が同行する以上、行政だけの訪問では得られない、その役割や目的を明確にする必要があります。また、現在のように写真や日程、訪問先を紹介するだけでは、交流の様子は伝わっても、具体的に何を学び、どのような成果があったのかまでは十分に分かりません。

そこで、「交流の記録」と「視察報告書」を分けて考えるべきと提案しました。視察報告書には、訪問目的、調査内容、得られた知見、区政への反映可能性、課題、経費などを記載する統一したフォーマットを作成し、原則として公開する。さらに、「訪問前の目的設定」「帰国後の報告」「一定期間後の政策反映状況」を一連の仕組みとして制度化すべきではないか、と質問しました。

【区の回答】

区は、ホノルル市との協定書には両都市の首長と議長が署名していることから、議員が同行することで協定の実現に向けた取組みを期待していると説明しました。一方、議員の成果目標については、区議会自身が明確にするべきものと回答しました。

また、これまでのホノルル訪問は、個別の政策調査よりも、姉妹都市との信頼関係や協力の基盤づくりを重視したものであり、区のホームページなどで交流の様子を紹介していると説明。政策立案を目的とする調査視察については、報告書の公開や評価の制度化を研究するとの回答でした。

【きもと麻由の見解】

議員の訪問目的や成果目標について、議会自身が責任を持つべきだという点は、その通りだと思います。しかし、区が主催する公式訪問に議員が同行するのであれば、行政と議会がそれぞれどのような役割を担うのか、区民に分かる形で説明する必要があります。

また、区は「国際交流」と「政策調査」を区別して説明しました。確かに、国際交流と政策調査では目的が異なります。しかし、国際交流が目的であれば、きちんとした報告書は必要ないのでしょうか?

信頼関係づくりが目的なら、誰とどのような協議を行い、どのような協力関係が生まれたのか。その後、交流がどう発展したのかを記録し、報告できるはずです。目的に応じて報告内容を変えることはあっても、公費による海外訪問について、報告書を作成し、区民に公開するという基本原則は変わらないはずです。

そして、報告書の作成は決して難しいことではありません。統一したフォーマットを作り、目的・活動内容・成果・課題・経費などを記入する。それを原則公開する。それだけでも、区民が海外訪問の内容を確認できるようになり、次の訪問に向けた改善にもつながります。さらに、報告して終わりではなく、その後の取組みも確認できるようにすることが重要です。

今回、区は制度化について「研究する」と回答しましたが、対象は政策調査を目的とする視察に限られています。私は、国際交流を含めた公費による海外訪問全体について、報告と検証の仕組みを整備すべきだと考えています。

ガイド・通訳・添乗員に約150万円。経費の妥当性はどう確認する?

【きもと麻由の質問】

2025年3月のホノルル訪問では、3日間でガイド費66万円、通訳費40万円、添乗員費40万円、合計約146万円の費用がかかっていました。そこで、なぜこれほどの費用が必要だったのか。また、旅程が決まっている中で、ガイドと添乗員の両方を配置する必要があるのか、質問しました。

【区の回答】

区は、添乗員は交通手段や旅程全体の調整、ガイドは訪問先との調整を担当しており、予定変更や天候・交通機関の乱れなどに対応するため、両方必要だと回答しました。

【きもと麻由の見解】

区から、それぞれの役割については説明がありました。しかし、約150万円という費用の積算根拠や、金額の妥当性については、具体的な説明がありませんでした。もちろん、海外での公式訪問には、予期しない変更への対応など、さまざまな経費が必要になります。しかし、必要な業務であることと、その金額が妥当であることは別の問題です。

例えば、統一した報告書に、それぞれの業務内容や経費の内訳、選定理由などが記載されていれば、こうした疑問についても客観的に確認できます。必要なのは、経費が高いか安いかという議論だけではなく、その支出が適切だったのかを検証できる仕組みです。そのためにも、経費の内容を含めた報告書の整備と公開が必要だと考えます。

基準額の二倍の宿泊費。その判断根拠は記録されている?

【きもと麻由の質問】

2025年4月の旅費制度改正により、海外出張の宿泊費について新たな基準が適用されています。ホノルル市における宿泊費基準額は1泊52,000円です。一方、2026年5月のホノルル訪問では、議員1名の宿泊費が4泊で425,000円、1泊あたり106,250円となっていました。詳しい内訳は明らかになっていません。

制度上、特別な事情があれば基準額を超える支出が認められる場合があります。そこで、基準額を超える場合の判断根拠と手続き、より安価な客室との比較記録の有無、規程の要件を満たさなかった場合の是正措置について質問しました。

【区の回答】

区は、「令和7年度は執行していないので、あくまで仮定の話」としたうえで、「規程に基づき適正に対処する」と回答するに留まりました。

【きもと麻由の見解】

今回の決算特別委員会の対象は令和7年度であり、ホノルル訪問の実施年度とは異なります。その点は理解しています。しかし、私が知りたかったのは、現行制度において、誰がどのような基準で宿泊費を判断し、その経緯をどのように記録しているのかということです。「規程に基づき適正に対処する」という回答だけでは、具体的な判断手続きは分かりません。

示された宿泊費が基準額を超えていることだけで、不適切な支出だと断定することはできません。実際の内訳や適用される規程についても確認が必要です。だからこそ、基準額を超える支出を認めた理由や比較検討の経緯を、文書として記録し、後から確認できるようにすべきだと考えます。

統一した報告書に経費の内訳や支出の判断根拠が記載されていれば、こうした疑問も生じにくくなるのではないでしょうか。

海外視察をブラックボックスにしない!

今回の質問で、私が最も伝えたかったのは、海外視察の経費が高いということではありません。公費による海外訪問の目的や成果、経費の妥当性を、区民が確認できる仕組みが必要だということです。

今回、区はホノルル市との交流の意義や、今後の方向性について説明しました。しかし、議員同行の具体的な成果目標や、経費の妥当性を検証する仕組みについては、十分な説明が得られませんでした。こうした問題を、その都度、議会で質問しなければ明らかにならないという状況自体、改善する必要があると思います。

私は、海外訪問について、少なくとも次のような項目を統一した報告書に記載し、原則公開する仕組みを求めています。

  • 訪問目的・成果目標: 何のために、何を得ようとして訪問したのか
  • 訪問内容: どこで、誰と会い、何を協議・調査したのか
  • 成果・課題: 何が得られ、どのような課題が残ったのか
  • 経費とその根拠: 何にいくら使い、どのように支出を判断したのか
  • その後の取組み: 得られた知見や交流を、区政にどう生かしたのか

さらに、一定期間後に、実際にどのような取組みが行われたかを確認できるようにする。これによって、区民は海外訪問の意義や成果を理解でき、行政や議会も次の訪問に向けて改善を重ねることができます。

経費についても、詳細が記録され公開されていれば、何にどれだけ必要だったのかを確認でき、不透明な支出を防ぐことにつながります。公費の使い道がブラックボックスになり、判断の根拠が外から見えなくなることは、不適切な支出を生む土壌になり得ます。

だからこそ、問題が起きてから調べるのではなく、普段から記録を残し、説明し、検証できる仕組みが重要なのです。海外視察そのものを否定するのではなく、訪問の価値を区民にきちんと伝え、成果を区政に還元できる仕組みに変えていきたい。「何のために行ったのか」「何が得られたのか」「その後どう生かしたのか」。そして「税金は適切に使われたのか」。これらを、区民の誰もが確認できる海外視察にすること。そのために、今後も報告書の整備と公開、成果の検証を求めていきます!

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