2026年6月23日の総務委員会(補正予算・議案審査)において、江戸川区が新たに推進しようとしている先進的な脱炭素の取り組み「ゼロエミッション地区創出プロジェクト」について質疑を行いました。
このプロジェクトは、太陽光発電などを効果的に活用して地域の脱炭素化を進めるという、非常に素晴らしい理念を持っています。しかし、計画の主軸となる「低圧電力の一括受電」の持続可能性や、将来的なパネル廃棄リスク、そして何より事業を担う地域エネルギー会社「江戸川電力株式会社」の運用についても、プロジェクトが進行する前に確認すべき課題がいくつかありました。
区民の大切な税金が投入され、将来的に負担だけが残るような事態は絶対に避けなければなりません。今回は、制度設計の持続可能性と将来のリスク対策の2点から、区側に質問しました。
質問1:5年後の補助金終了後、住民や企業に負担は残らない?
プロジェクトの大きな柱の一つが、集合住宅(マンション等)において太陽光電力を効率的にシェアし、電気代の節約に寄与するという「低圧電力一括受電」の仕組みです。しかし、この取り組みは「最長5年間の東京都からの補助金」を前提に組み立てられています。
【きもと質問】 現在、江戸川区内でこの一括受電の仕組みが導入されている実績はどの程度あるのか。また、5年後に都からの補助金が終了した後、参画した企業やマンション住民に対して、新たな維持管理費用や設備更新などの財政負担が発生しないような制度設計になっているのか?
【気候変動適応計画課長答弁】 低圧電力の一括受電は、主に大手の民間企業が新築時に実施している事例はあるが、区が想定している「既存の集合住宅」への導入については現在地域の賃貸物件オーナー等と意見交換を行っている段階(=区内実績はまだ少ない)。 また補助金については導入時の設備費に対するものであるため、5年後に補助金が終了したからといって、電気代が即時に上がることは想定していない。年数経過によるメンテナンス等については、今後の国や東京都の動向も見ながら、活用できる支援策の検討を進めていく。
民間企業であっても、5年後以降の見通しが立たないプロジェクトへの参画は大きなリスクを伴います。区内実績がまだ乏しい中、補助金終了後の具体的なメンテナンス費用について「これからの国や都の動向を見ながら支援策を検討する」という、やや不透明な現状が浮き彫りになりました。
質問2:太陽光パネルの大量普及に備えた「将来のリスク対策」は?
今回の補正予算案には、住宅用や町工場等の省エネ・太陽光設備に対する公費が計上されています。区がこうして公費を投じて太陽光パネルの設置を推進していくことは、民間市場における同種のビジネスを呼び込むきっかけ(呼び水)にもなり得ます。
他自治体では、将来的なパネルの大量廃棄や、それに伴う有害物質による環境汚染を未然に防ぐため、すでに厳格な条例制定やガイドライン策定が進んでいます。
【きもと質問】 区の想定を超えて、他の民間事業者が区内で次々と太陽光事業を拡大・参入してきた場合の備えはあるのか。また、将来のパネル廃棄や環境負荷に対する具体的な規制・対策をどのように考えているのか。
【気候変動適応計画課長答弁】 メガソーラー(大規模太陽光)については、令和7年(2025年)12月に資源エネルギー庁から対策パッケージという国の指針が出ており、法規制の強化が進んでいる。一方で、屋根上などの環境に配慮した太陽光については今後も支援が重点化される方向性である。 ご指摘のパネルのリサイクル・廃棄に関して、自己所有の場合は居住者自らが適正処分を依頼する必要があるが、区が推進する方針(PPA:初期費用ゼロでの設置モデルなど)については、日々のメンテナンスから最終的な撤去・リサイクルまで一貫して、パネルの所有者である「江戸川電力」がすべて行うため、廃棄の負担は少ないと考えている。
区としては「江戸川電力が撤去まで一貫して行うから負担はない」という見解ですが、これはすべてがセオリー(想定)通りにうまくいった場合の話です。民間事業者が急加速で参入してきた場合の備えも含め、「セオリーがうまくいかなかったときのリスク」も十分に想定内に置いておくべきだと意見を申し上げました。
【きもと麻由の意見・要望】江戸川電力の経営健全化と、確実な資金回収の仕組みを!
質疑の最後に、私は区側に対し、財政規律の観点から要望を申し上げました。
このプロジェクトの推進役である「江戸川電力株式会社」は、昨年12月の設立から現在で半年以上が経過しています。しかし、お聞きしたところによると、現在の受注実績はわずか1件にとどまっており、非常に厳しいスタートを切っています。
事業の立ち上げ初期の難しさは理解できるものの、民間企業として捉えた場合、その経営体力が十分に備わっているのかについては正直疑問を感じざるを得ません。
経営がまだ安定していない企業のプロジェクトと連動する形で、今回の補正予算を含めた多額の「公費(税金)」を投入していくことに対しては、非常に慎重であるべきです。
行政が一度手を挙げた事業である以上、5年後に東京都の補助金が終了した後に事業が立ち行かなくなったり、江戸川区の財政を圧迫するような事態は絶対に避けていただきたい。
補助金終了後も江戸川区においてしっかりと安定運用され、投入された資金が確実に回収できる、実効性のある仕組みを早急に構築するよう強く要望しました。
環境対策・脱炭素の推進は重要ですが、それと引き換えに区の財政規律や区民への将来的な負担が犠牲になっては本末転倒です。これからも「江戸川電力」の動向と、税金の使われ方を厳しく注視してまいります。

